トランペットのバテ問題について理屈っぽく書いてみる

トランペットの吹き方、奏法について

トランペットってバテますよね?

トロンボーンとかバテないんですかねあの人達は?私は高校時代ホルンを吹いていたことがあるんですがホルンもバテますよね。トランペットって正直バテない人っていないと思いますが、バテる人は本当にバテてワンフレーズ吹けない人もいますよね。そういう人ってすごいストレスたまるんですよ。だって練習したいのにバテて練習すらできないんですから。というわけで金管楽器、特にマウスピースが小さいトランペットとホルンのバテ問題についての記事になります。

なぜバテるのか?

バテるといっても顎が痛くなる人や首が痛くなる人などいると思いますが、ここでは多分一番悩んでいる人が多いアンブシュア周りのバテについて書いていきます。
アンブシュア周りの筋肉は楽器演奏時何をやっているでしょうか?まず、口の中の圧力が逃げないようにキープする動き(ほっぺたが膨らまないようにする動き)をしています。あと、アパチュアのコントロールをするための動きです。問題はこのアパチュアのコントロールです。アパチュアは高音域、もしくは小さい音量で吹くときに閉じる(締める)動き、低音域、フォルテの時開く(緩める)動きをしています。息の圧力が一定の中で閉じる(締める)とアパチュアが小さくなってアパチュアにかかる圧力が高くなります。その結果音程が上がるわけです。このアパチュアに空気圧をかけて上下の唇を振動させるというのは金管楽器で音をだす根本的な仕組みです。よくバテてワンフレーズしか吹けないという方は、実はこのアパチュアに圧力をかける動きをバテない人よりやりすぎているのでより早くダウンしてしまうのです。

どうすればバテないようになるのか?

バテるという人は特に高音域を連続して吹いているとバテてしまうということがほとんどだと思います。アパチュアに空気圧をかけて唇を振動させるというのが金管楽器を吹く上での基本原理ですが、これはどの音域でもやっていることは同じです。音域によって違うのはアパチュアにかかる圧力の強さの違いです。高音域であればアパチュアにかかる空気圧は音の高さに比例して高くなります。しかしこの圧力を上げることをアパチュアを締めて(アンブシュア周りの筋肉を使って)やってしまうとバテます。しかし、アパチュアの圧力を高めるにはもうひとつ重要なものがあります。それは息をはくことです。バテやすい人はこの息の圧力が弱いために、その上がらない圧力分をアパチュアを締めることで補っているので結果としてバテない人よりアンブシュア周りに負担がかかり、耐久力が少なくなるのです。バテない人はアパチュアの圧力を上げる動きを息圧を上げること、つまり腹筋、背筋など息を吐くために使える筋肉を使ってやっていて、アンブシュア周りの筋肉はあくまでサブ、微調整に使っているのです。考えてみてください。アンブシュア周りの小さな筋肉たちと腹筋、背筋、肺周りの筋肉とどちらが力強く耐久力があるか?

クッションリムはバテないのか?プレスするからバテるのか?

最後によくネット上で話が上がるトピックについて書きたいと思います。まずマウスピースのカタログなどにクッションリム、フラットリムといったリムが平らで厚いものはバテにくいということが書いてあることがありますが、バテる人は上記の通りそもそも奏法が上手くいっていないことが原因にあるのでこういったリムを持つマウスピースに変えたところで改善されるというわけでは無いです。
なぜこういったリムを持つマウスピースがバテにくいとされているかというと、プレス(マウスピースを唇に押し付ける)した時に力が分散するからという理由だと思いますが、私はプレスすることとバテは関係ないと考えています。このことは長くなりますので別の機会に書きたいと思います。

アンブシュアの筋トレは有効か?

あと、バテる人は口周りの筋力が人より弱いからだと考えて鉛筆を咥えて保持するなど筋トレがいいと言われたことがある人がいると思いますが、口輪筋やその周辺の筋肉ってそんなに大きい筋肉ではないし、上腕二頭筋や腹直筋のように鍛えて強くするってことが実際に可能なんでしょうか?そもそも顔回りの小さい筋肉たちに楽器の耐久力に影響が出るほどの大きな個人差があるのでしょうか?トップで活躍する女性奏者や全国レベルの中学生ブレイヤーはムキムキの口輪筋をもっているんでしょうか? 吹奏楽やオーケストラなど一般的な音域の演奏範囲の中で言えば、正直私はその効果について怪しいと考えています。

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